経済の三つの視点

 「新しい資本主義」という言葉がよく聞かれますが、その実態は多くの人にとってまだ掴みにくいものです。
 経済は大きく3つの側面から見ることができます。

  1. 支出面でみるGDP:消費や投資など経済活動全体の出費を指します。
  2. 生産面でみるGDP:商品やサービスの生産量を見ます。
  3. 分配面でみるGDP:生産された富がどのように分配されるかを示します。

 これら三つは経済の異なる側面を示しており、このバランスを「三面等価」と中学か高校で教わりました。
 過去の政権では、消費の活性化や企業への投資促進を目指して「支出面」に焦点を当てた政策が多く見られました。例えば、GIGAスクール構想ですらその一環です。
 しかし、岸田政権では、より「分配面」に注目し、所得を増やす方向にシフトしています。ただし、経済の基本は変わらないため、このアプローチの変更がどのような影響をもたらすかはまだ不明ですし、スイッチコストばかりがかかるようにも感じます。

新しい資本主義の説明

130万円の壁とは?

 年収130万円という数字は、社会保険の扶養から外れるかどうかの重要な分岐点です。この「壁」を超えると社会保険への加入が必要になりますが、特定の条件下ではこの限界を超えても扶養内に留まることが可能です。(厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/stf/taiou_001_00002.html)
 しかし、この金額は現代の経済状況に即しているのでしょうか?時代の変化に応じてこの「壁」を動かすことは可能なのか、という疑問が浮かびます。
 また、この制度の背後には、労働市場における様々な課題が隠されています。例えば、年収130万円を超えることを避けるために労働時間を減らすと、人手不足が生じる可能性があります。これは、低賃金で外国人労働者を雇用する傾向を強めるかもしれません。このような状況は日本経済にとって本当に有益なのでしょうか?

施策の実態と課題

 国は現在の130万円の壁を守りたいように思えます。
 所得倍増という魅力的なフレーズを使いながら、実際には中小企業に賃金アップという経済的負担を強いているのが現状です。
 一時的に収入を増やすための誘導が行われても、最終的には特例措置が撤廃され、社会保険の負担が増加します。
 また、消費税の徴収を強化するためのインボイス制度も裏で進められています。
 これらの施策は一見、経済を活性化させるためのものに見えますが、その実態と長期的な影響はよく考慮されるべきです。
 結局のところ、これらの政策が誰得になっているのか、真剣に考える必要があります。